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草刈りって難しい。。。何でもそうだけど

先週末から草刈りの仕事になりました。林業の仕事は年間通してその時期その時期にやる仕事が大体決まっています。夏場は植物の成長が一番盛んで、必要とされない雑草もドンドン成長してヒノキ・スギの苗木に絡みついたり日差しを覆い隠して育成を阻害します。なので、夏場は草刈りをするシーズンとなっております。
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苗木は山肌に対して均等距離になるよう植え付けられる場合が多く、碁盤の目の接点ごとに苗木がキレイに並びます。苗木との隙間には雑草が当然生え放題になるので、その隙間を縫うように刈払機で雑草を刈って行くという作業を行います。刈払機を肩からさげ、ハンドルを握り右側にあるアクセルを吹かすと刃が回転し、その刃を山肌付近にあてがう様にして雑草を刈り払っていくという作業なのですが、これが結構危険な作業です。

何が危険かというと
1.山肌は平らな部分が少なく、斜度に合わせて身体を安定させるのが難しい
2.山肌に転がる石・岩や切り株に刃を誤って当てると大きく弾かれる
3.蜂・蛇などの害虫による被害
4.日差しを遮る場所が少なく、脱水症状・日射病になり易い

また、植えられた苗木は当然タダではなく1本数百円します。集中していないとちょっとした手元の狂いで苗木に刃を当ててしまい簡単に誤伐することも…これはもう熟練度と集中力・判断力の勝負でして、私なんかは下手すると1日20本近く苗木を飛ばしてしまう事も。。。(苗木代を天引きされたりはしませんが、場合によっては翌年に組合の自腹で、根付かず枯れた苗も含めて駄目になった部分に補植と称して苗を植えつけ直します)

そうやって苦労した結果、山肌全面に生い茂った雑草の海がヒノキ・スギの苗木の緑だけに刈り取られます。この作業を苗木植え付け後5年ほど、毎年夏に1回(場合によっては2回)行い苗木が雑草の生長よりも背丈が高くなれば草刈りが必要なくなるという訳です。
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国内産ヒノキ・スギの材価が下落しつづける現状では、新規に苗木を植えつける需要がどんどん少なくなってきています。手入れする山林が少なくなれば当然私ら作業員も仕事が無くなり商売上がったりって事になります。今回は説明を簡素にするためにヒノキ・スギに限って書きましたが、古くはそれこそ聖徳太子の時代から日本の山林は人の手によって整備され改良され、材木や食材やマキなどエネルギー源として利用されてきました。逆に言えば、一度人間の手が入った山林はある程度人間の手によって手入れされないと、太古の昔の原生林に戻るどころか竹やササに覆われたり下手すると土砂の流出によって草木すら生えない禿山にすらなり得ます。『山林保護は木を切らなければ良い』なんていうのは日本の山林(人工林だけでなく天然林と呼ばれるものも含む)の多くには当てはまりません。

だから、例え今仕事が無くなりつつあろうが、『今に環境問題が深刻になればきっと私達の手が必要にならざるを得ないはずだ』と信じてこのきつい仕事に敢えて挑んでいます。林業が完全に廃れるとき、それは日本の山林が総じて天然林のみになることではなくて、大部分が赤茶けた、潤いのかけらも無い禿山だらけになることでしょう…なんていう考えが取りこし苦労になってくれること、それが私の一番の望みなんですよね。
by mah_dl650 | 2005-07-09 23:44 | 林業/造園


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